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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第64号 2025/12/18発行
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皆さん、こんにちは。
ハローワーク採用支援に特化した社会保険労務士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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【テーマ】
Q. 求人票で“年収”を記載するときの注意点は?
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- 「年収」は、求職者が最も関心を寄せる情報のひとつです。
しかし実は、 ハローワークの求人票には“年収欄”が存在しません。
「知りたいのに、書く場所がない」。
このギャップを放置すると、求職者は給与の全体像をつかめず、応募をためらう原因になります。
そこで私は、
任意記載欄である「特記事項」や「その他手当付記事項(d)」に“年収例”を適切に記載すること
を推奨しています。
ただし、年収例の書き方には一定のルールがあり、誤った表現はミスマッチやトラブルのもと。
今回は、厚生労働省のガイドラインも踏まえて、実務で必ず押さえるべきポイントを整理します。
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【1】モデル年収は「特定の人物像」を想定して書く
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モデル年収とは、
実際の社員をイメージした“目安の年収” を示すものです。
示すべき情報は以下のとおりです。
- 年齢
- 経験年数
- 役職
- 月給・賞与・手当などの内訳(※額面で)
例:
年収例①:450万円(入社1年目/27歳/月給28万円+賞与+各種手当)
重要なのは、
実態とかけ離れた数値を提示しないこと。
実際より極端に高い金額を示すことは、厚労省も明確にNGとしています。
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【2】厚労省が注意喚起する「誤解を招く書き方」とは
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厚生労働省の資料では、次のような例が問題視されています。
❌ NG例(誤認を招く表示)
【給与】400万円〜
【モデル給与】1000万円〜
(社内でも一部の“高額給与者”の実例を標準のように表記)
これは、
「誰でも1000万円もらえるのか?」
と求職者に誤解させるため、虚偽表示と判断される可能性があります。
⭕ 正しい書き方(誤解を防ぐ表示)
【給与】400万〜600万円
【モデル給与】555万円(同職種社員の平均)
ポイントは、
「誰が、どんな条件で、その年収になるか」を明示すること。
キャリア採用では特に、曖昧な数字や過度な誇張は逆効果です。
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【3】モデル年収は“額面”で記載し、「目安」であることも明記
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モデル年収は 税金・社会保険料控除前の“額面” で記載します。
さらに、次のような一言を添えるだけでトラブル防止になります。
※モデル年収は保証額ではなく、実績に基づく一例です。
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【4】未経験・経験者など複数パターンを示すと、応募率が上がる
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求職者のバックグラウンドが異なる場合は、
モデル年収を複数パターンで提示すると、納得感が高まります。
例:
未経験者:年収例 350万円(月給23万円+賞与)
経験者 :年収例 420万円(月給26万円+賞与)
“自分はどちらに当てはまるか” がイメージできることで、応募率が向上します。
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【5】年収欄のないハローワークでは「特記事項」が勝負
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ハローワーク求人票には年収欄がないため、
「特記事項」や「その他手当付記事項(d)」に年収例を記載することが非常に有効です。
記載イメージ:
【年収例】
・入社1年目(28歳/未経験入社):360万円
・入社3年目(30歳/主任):470万円
・入社5年目(35歳/係長):510万円
年齢・役職・内訳(額面)まで記載すると、
求職者の理解度が大きく高まり、応募につながりやすくなります。
ハローワークは文字中心の媒体だからこそ、
情報の透明性=応募率の高さ に直結します。
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【まとめ】
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- モデル年収は「特定の人物像」で設定する
- 例外的に高い年収を例示するのはNG
- 年齢・経験・内訳を記載すると信頼性が上がる
- 額面で提示し、あくまで目安であることを明記
- 未経験者・経験者など複数パターンを出すと親切
- ハローワークでは「特記事項」が情報提供の要になる
求人票の“給与の見える化”は、
求職者の不安を取り除き、応募の質と量を大きく左右します。
2026年の採用に向けて、
ぜひ一度「年収の伝え方」も見直してみてください。
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