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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第60号 2025/11/20発行
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皆さん、こんにちは。
ハローワーク採用支援に特化した社会保険労務士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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【テーマ】
Q. 就業時間が不定な職場では、求人票にどのように記載すればよいですか?
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A.就業時間が不定な場合でも、「現場による」「日によって変動」「シフト制」などの表現だけでは、求職者が働くイメージを持ちにくくなってしまいます。
そのため、“原則となる時間帯”と“変動の幅(またはパターン)”を具体的に記載することが必要です。
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これは“受理のためのルール”というより、
求職者が安心して応募できるようにするための情報提供という位置づけです。
ハローワークには日々、
- 実際に何時から働くのか分かりづらい
- 生活リズムや家事・育児との両立がイメージできない
- 前職との働き方の違いが判断できない
といった相談が寄せられています。
特に、キャリア採用・経験者採用の求職者は、現職や前職の勤務条件と比較しながら応募可否を判断する傾向が非常に強いため、就業時間の明確化は応募率を大きく左右する要素になります。
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【1. 基本の考え方】
“基準の時間”+“変動の幅・パターン”を見える化する
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(1)基準となる始業・終業時刻
(2)変動が生じる場合は、その“幅”または“複数のパターン”
この2点が示されているだけで、求職者は「自分の生活と両立できるか?」を具体的に判断できます。
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【2. 実務で使える記載例(業種横断で活用可能)】
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■(例1)開始時刻が前後する職場(建設・設備・配送 等)
- 8:00~17:00(休憩60分)
※現場により始業が7:30~8:30の間で前後する場合があります
■(例2)複数シフトがある場合(介護・医療・販売 等)
- (1)8:00~17:00
(2)9:00~18:00
(3)10:00~19:00
※シフト制(ご本人の希望を考慮して決定します)
■(例3)帯で示すパターン(飲食・コールセンター 等)
- 9:00~21:00 の間で実働6~8時間
※業務量に応じて始業・終業が変動します
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【3. 休日の補足もミスマッチ防止に効果的】
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勤務時間が不定な職場は、繁忙期・閑散期で休日体系が変わることが多いため、時期ごとの違いを補足すると安心感が大きく高まります。
【記載例】
● 4~12月:週休2日制(土日)※3カ月に1回土曜出勤あり
1~3月:週休制(日・祝)
- リフレッシュ休暇制度あり(上半期3日・下半期3日/最大7連休可)
- 週休二日制(毎週日曜+月3~4日フリー休)
※定休と連続取得も可能
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【4. シフトの決め方・通知時期が見えると応募率が上がる】
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【記載例】
● シフト制(2週間ごとに本人の希望を踏まえて決定)
● シフトは前月20日までに確定。希望は柔軟に調整します。
● 週1日~勤務OKの自己申告制で、家庭や学校との両立もしやすい環境です。
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【5. 勤務体系(変形労働時間制・フレックス)を使う場合】
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【記載例】
● 1年単位の変形労働時間制
通常:14:20~22:00(実働6時間40分)
講習期間(年間50日):9:00~19:20(実働9時間20分)
- フレックスタイム制(コアタイムなし)
標準勤務 9:45~18:10
標準労働時間 7時間25分
営業時間 10:00~18:00
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【6. 「希望者のみ残業可」は収入重視層に響く】
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【記載例】
● しっかり稼ぎたい方は月30時間程度まで残業可能
● 希望される方は長時間勤務も可。収入重視の方にもおすすめです。
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【7. ここが最大のポイント】
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働き方や休み方に関する情報が重要であることは、多くの企業も理解しています。
しかし実際の求人票を見ると、その大事な情報が十分に書き込まれていないケースが非常に多いのが現状です。
だからこそ、
「働く時間」「休むタイミング」「シフトの決まり方」「時期による違い」
といった情報を、できるだけていねいに・積極的に発信することが、
求職者から“選ばれる求人票”への一番の近道になります。
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【まとめ】
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- “不定”でも「基準の時間帯」は必ず記載
● 変動があるなら「幅」や「パターン」を明示
● 就業時間は求職者にとって最重要の判断材料
● キャリア採用では“現職や前職との比較”がさらに強く働く
● 休日・働き方の情報を丁寧に示すことでミスマッチを防止
● 情報を見える化した求人票こそ、選ばれる求人票になる
ぜひ今回のポイントを、自社求人のブラッシュアップにご活用ください。