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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第55号 2025/10/17発行
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皆さん、こんにちは。
ハローワーク採用支援に特化した社労士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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【テーマ】
Q. 書類選考にこだわりすぎていませんか?
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書類の完成度=能力の高さ?
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履歴書や職務経歴書がしっかり作り込まれている求職者は、
応募にあたって真剣であること、書類作成能力の高さ、
そして「自分をどう見せるか」を考える意識の高さがうかがえます。
そうした点から見ても、確かに能力の高い方といえるでしょう。
一方で、私自身がハローワークで勤務していた際に担当していたのは、
高校や大学を卒業しておおむね3年未満の方々――
いわゆる“初めての転職層”でした。
彼らの多くは、
「履歴書ってどうやって書くんですか?」
「職務経歴書って何を書けばいいんですか?」
という段階からスタートする方も少なくありません。
つまり、応募書類が十分に整っていないのは「意欲がないから」ではなく、
“経験がないからうまく書けない”というケースも多いのです。
限られた時間の中で、サポートを受けながら慌てて応募書類を作成する――
そうした方々の書類は、どうしても体裁が整いきらないことがあります。
一方で、離転職を繰り返している方の中には、
これまで何十回も応募書類を作り込んできた経験があるため、
見栄えも完成度も非常に高いケースも多くあります。
そこで私は、企業の経営者や採用担当者の方にこうお聞きすることがあります。
「御社にとって、本当に採用したいのはどちらの人材ですか?」
きれいな応募書類を作れる人か。
あるいは、まだ不器用でも、これからしっかり成長していく人か。
もちろんどちらが正解ということではありませんが、
“書類選考だけで判断する”ことのリスクを、
改めて考えるきっかけになればと思います。
「全員面接」という選択肢
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近年、「書類選考なしで全員と面接します」という企業も増えています。
実際にそうすることで、ハローワーク経由の応募者が増えたという事例もあります。
もちろん、「行き当たりばったりの面接にはしたくない」という声もよく聞きます。
その場合は、応募書類だけを事前に送ってもらい、全員と面接する方法がおすすめです。
求人票の「特記事項」欄などに、
「応募書類は事前送付をお願いします。書類選考ではなく、応募者全員と面接させていただきます。」
と明記しておけば十分です。
これなら、事前に履歴書の内容を確認しながら面接準備ができ、
求職者にとっても「チャンスが平等にある」ことが伝わります。
書類より「対話」で見えてくる人柄
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書類は、あくまで“応募への入口”にすぎません。
特に中小企業の採用では、人柄・価値観・仕事への向き合い方といった要素が、実際の活躍に大きく影響します。
「書類選考で落とす」よりも、「まず会って話してみる」。
この一歩が、思いがけない“良い出会い”につながることもあります。
まとめ
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書類の完成度は、応募者の意欲や能力の一面を映すものですが、すべてではありません。
ハローワークの応募者の中には、書類では見えない“可能性の原石”が多く眠っています。
「書類より人を見る採用」──
その考え方を取り入れることで、あなたの会社にも新しい風が吹くかもしれません。