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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第53号 2025/10/3発行
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皆さん、こんにちは。
ハローワーク採用支援に特化した社労士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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【テーマ】
Q. 正社員とパート、仕事内容の書き分けポイントは?
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A. 同じ業務でも「役割」と「期待度」を分けて伝える!
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求人票の「仕事内容」欄。
一見シンプルに書いているつもりでも、正社員とパートを同じような書き方にしてしまうと、求職者に誤解や不安を与えがちです。
たとえば、どちらも「接客・販売業務全般」と記載してあると、
- パート希望者は「結局フルタイムで働かされるのでは?」
- 正社員希望者は「責任や成長の見通しがなく、キャリアが見えない」
こうした印象を持たれてしまうのです。
つまり、仕事内容欄は単なる業務の羅列ではなく、企業が期待する役割と働き方を“言葉で伝える場”。
ここを工夫するかどうかで、応募者の安心感と行動が変わります。
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■なぜ書き分けが必要なのか?
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正社員とパートでは、企業が求める役割も、働き方に求める姿勢も異なります。
- 正社員:長期的に育成し、中核人材として責任ある業務を担ってもらう
- パート:限られた時間の中で、日常業務を安定して支えてもらう
この違いを表現しなければ、採用段階でミスマッチが発生し、入社後の早期離職にもつながりかねません。
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■よくある失敗例
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- 正社員・パートともに「〇〇業務全般」とだけ記載
→ 結果的に「パートでも正社員と同じ責任を負うのでは」と思われる。 - 正社員の仕事内容が抽象的すぎる
→ 「幅広くお願いします」「臨機応変に対応」などはブラック企業を想起させる。 - パートの仕事内容が広がりすぎる
→ 「補助業務全般」と書くだけでは、線引きが不明確で不安を招く。
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■書き分けの実例
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販売職の場合
- 正社員
「店舗運営に関わる接客・販売、発注や売上管理、後輩スタッフの教育など、将来的には店舗全体の運営を担っていただきます」 - パート
「レジ対応、商品の陳列・補充、簡単な清掃など、日常的な店舗業務をお願いします」
事務職の場合
- 正社員
「顧客管理システムへの入力、資料作成、来客対応に加え、業務改善や新人教育なども担当していただきます」 - パート
「データ入力や電話応対、来客対応など、基本的な事務作業をお願いします」
技術職の場合
- 正社員
「設備の点検・修理に加え、工程改善や後輩指導、将来的にはプロジェクト全体の管理をお任せします」 - パート
「部品の検品や簡単な点検記録、担当者の補助作業をお願いします」
→ ポイントは、正社員には「成長・責任・幅広さ」を、パートには「安心・範囲の明確さ」を示すことです。
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■欄の使い分けも意識して
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仕事内容欄の工夫に加え、求人票の他の欄も活用しましょう。
- 特記事項欄:
「過去3年間で5名が育児休業を取得し、全員が復帰」
「資格取得支援制度あり、キャリアアップを応援」 - 就業時間に関する特記事項欄:
「所定労働時間を短縮して勤務可能」
「保育園送迎に合わせた勤務調整も相談可」 - 休日等その他の場合欄:
「学校行事や子どもの看護休暇の取得を推奨」
「有給休暇の希望取得率80%以上」
欄全体を使って、「安心して働ける職場」であることを多角的に伝えるのが効果的です。
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■まとめ
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仕事内容の書き分けは、応募者の安心感を高めるだけでなく、入社後のミスマッチ防止にもつながります。
- 正社員 → 長期的な成長・責任・キャリア形成
- パート → 時間内での安定業務・生活との両立
この違いを言葉で示すことで、早期離職を防ぎ、採用の成果を大きく変えることができます。
仕事内容欄は、単なる業務説明ではなく「役割と期待を伝える場」。
ぜひ一歩踏み込んだ書き分けを実践し、自社の採用力を高めてみてください。