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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第48号 2025/8/29発行
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皆さん、こんにちは。ハローワーク採用支援に特化した社労士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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【Q&A】
- 高校生の新卒採用を成功させるためのポイントは何ですか?
A. 高校生本人だけでなく、保護者・学校の先生にも“伝わる求人票”を意識することがポイントです。
【解説】
■ 高卒採用市場の現状(2025年度)
厚生労働省の最新データによれば、令和6年3月(2025年3月)卒の高校生の求人数は約50万人、就職希望者は約12万人で、求人倍率は4.10倍。なお、東京都に限れば、高卒者の求人倍率はなんと15.71倍(令和7年3月卒)にまで跳ね上がります。まさに「超売り手市場」。バブル期を超え、過去最高を記録して、企業側にとっては「採用意欲があっても応募が来ない」状態がますます強まっています。
この「4倍超の求人倍率」が意味するのは、企業は高卒採用に本気なのに、生徒1人に対して求人が4社以上ぶつかっているという現実です。
■ 高卒採用におけるこの時期(8月末)の状況と見通し
現在(メルマガ配信日:8月29日時点)は、以下のような状況にあります。
- 9月5日からの応募解禁を目前に控え、高校の先生方は履歴書や調査書の作成・準備に大忙し
- 職場見学を終えた生徒はすでに応募先を確定しつつある
- 学校現場は、追加で新たな求人票を見る時間的余裕があまりない
つまり、この時期に職場見学の申し込みがまったくない企業は、一次応募(9/5以降)では応募が来る可能性は高くないという認識が必要です。
■ とはいえ、まだチャンスはある「二次応募」の存在
重要なポイント:二次応募と複数応募は別です。
- 二次応募とは:9月5日以降、一次応募で「不合格」となった生徒が、次の企業に応募すること
- 複数応募とは:地域ルールに基づき、多くの地域で11月1日以降に一度に2社以上へ応募できるようになる仕組み
よって、不合格通知を受けた生徒は、11月を待たずにすぐ次の求人を探し始めるため、企業側も受け入れ体制(求人の再提示など)を早めに整えておく必要があります。
■ 高卒求人票は誰のためのものか
高卒採用において重要なのは、「求人票を見るのは生徒本人だけではない」という点です。
- 生徒(本人):仕事内容がわかりやすく、自分に合っていそうか
- 保護者:勤務条件や将来性、安心できるかどうか
- 学校の先生:推薦できる内容か、過去の実績があるか
この三者に対して、「安全・安心・丁寧に指導できる会社だ」と思ってもらえる表現になっているか。
特に、高卒求人票は大学生のような自己判断ではなく、先生の推薦がカギになります。
■ 高校での求人票の扱いも変わりつつある
従来、高校では求人票を一覧化し、紙で印刷・配布する運用が一般的でした。
しかし現在では、「Handy進路指導室」などクラウド型の求人管理システムを導入する高校も増えており、求人票の閲覧方法がデジタルに移行しつつあります。
とはいえ、一覧化して配布する運用がまったくなくなったわけではなく、多くの高校では7月中旬頃までに届いた求人票が一覧表に反映され、生徒が夏休み中に検討する材料となっています。
したがって、9月間際に求人票を変更・修正しても、現実的には学校現場に届くまで時間がかかり、生徒にすぐに届かない可能性が高いのが実情です。
【まとめ】
高卒採用で大切なのは、
- 高校のスケジュールを理解する
- 応募解禁前に職場見学がなければ、一次応募は見込めないと判断して次の策を練る
- しかし、二次応募というチャンスはすぐ来る
- 求人票は「本人・保護者・先生」の三者に届く表現を
- 修正・追加の求人票は、できるだけ早めにハローワークと高校へ
次号予告
次号(第49号)は、2025年9月5日(金)配信予定です。
テーマは、「求職者目線を入れる3つのトレーニング法」 です。