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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第46号 2025/8/8発行
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皆さん、こんにちは。社会保険労務士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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【テーマ】
Q. ハローワークに報告する「採用結果通知」にはどんな意味がありますか?
- 採否を報告するだけでなく、自社の求める人物像や採用基準をハローワークに伝えることにもつながります。
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【解説】
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ハローワーク経由で求人に応募があると、原則としてハローワークから企業に電話連絡が入り、採用選考を行う流れになります。
その際、求職者には「紹介状」が発行されます。
この紹介状には以下の情報が記載されています。
- 求職者の名前
- 応募企業名・職種
- 求人番号 など
紹介状は、ハローワークが 「どの求職者をどの企業に紹介したか」 を管理するためのものであり、ハローワークのお墨付きであるとか、優先採用義務があるという意味ではありません。
ただし、企業側にとっては、本人からの直接応募よりも素性が明確なため安心感があるというメリットがあります。
また、ハローワーク経由での採用は、助成金の対象になることもあり、その証明書類としても紹介状は重要です。
■ 「採用結果通知」とは?
紹介状の裏面は 「選考結果通知」 になっており、企業がハローワークに結果を報告するための書面です。現在は、求人者マイページから選考結果登録をオンラインで行うことも可能です。
元ハローワーク職員としての私の経験からも、採用結果は速やかに通知することが強く推奨されます。
さらに、可能な限り 「不採用理由」 を具体的に記載すると、ハローワークにとっても求職者にとっても有益です。
■ 採用しなかった理由はこう活かされる
窓口で求職者と接していると、よくこんな質問を受けます。
「なぜ不採用になったのか教えてもらえませんか?」
このとき、ハローワーク職員は「選考結果通知」の内容をもとに、求職者への今後のアドバイスを考えます。
例えば、不採用理由を
「2. 技能・経験・知識の不足」
とだけするよりも、
「WEB制作関連のスキルは十分だが、店舗運営や販売経験が不足していたため今回は見送りました」
と書かれていれば、求職者に具体的なアドバイスができます。
※もちろん、職員はそのまま伝えるわけではなく、内容を整理して求職者に助言します。
■ 企業にとっても大きなメリット
採用結果通知を丁寧に書くことは、求職者だけでなく 企業側にもプラス です。
- 自社の求める人物像や採用基準がハローワークに伝わる
- 以降の紹介でミスマッチが減る
- 「誠実に選考している企業」という印象が職員に伝わる
実際、私がハローワーク勤務時代に感じていたことですが、
採用結果をきちんと報告してくれる企業は、自然と紹介したくなる ものです。
一方で、結果報告が遅い、理由が書かれていない、など対応が不誠実に見えると、職員の中での印象は良くありません。
求職者からの一方的な情報だけでなく、企業の目線も伝わることで、ハローワークの支援精度も上がります。
■ まとめ
採用結果通知は、単なる「採否報告」ではありません。
- 求職者への適切なフィードバックにつながる
- 自社の採用基準をハローワークに伝えられる
- ミスマッチ防止と紹介率アップが期待できる
「人を大事にする企業」としての姿勢を示すためにも、結果通知は丁寧かつ迅速に行いましょう。
それが、ハローワークからの信頼を高める第一歩です。
次号予告
次号(第47号)は、2025年8月22日(金)配信予定です。
テーマは、「誠実な求人票が中小企業の未来を変える」 です。