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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第43号 2025/7/18発行
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皆さん、こんにちは。社会保険労務士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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【テーマ】
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【Q&A】
Q. 「新卒なんて無理!」と諦めずに、中小企業でも新卒相当な人材を採用するには?
A. 卒業後3年以内の「既卒」や、1~3年以内の離職者である「第二新卒」など、実質的に“新卒枠”で採用できる若年層にアプローチするのがポイントです。
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【解説】
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■ 「新卒は来ない」と思い込んでいませんか?
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中小企業の経営者や採用担当者から、よくこんな声を耳にします。
「うちみたいな会社に新卒が来るわけがない」
「どうせ大手にしか行かないから」
たしかに、大学在学中の学生を対象に、ナビ媒体(リクナビ・マイナビ等)を通じて早期から説明会や選考を行う採用活動は、今でも大手・中堅企業が有利な構図です。
加えて、インターンシップ(オープンカンパニー含む)を入口とした“早期囲い込み”も主流になっており、中小企業がこのルートで戦うのは現実的に難しいといえます。
でも、だからこそ中小企業には「別のアプローチ」があります。
それが、既卒3年以内や第二新卒など、“新卒相当層”への採用アプローチです。
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■ 狙い目は「既卒3年以内」や「第二新卒」
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厚生労働省は、「既卒3年以内」の求職者について、企業に対して“新卒と同等の処遇”を求めています。
また、「第二新卒(卒業後1~3年程度で離職した若年層)」も、社会経験がありながら柔軟性の高い人材として注目されています。
実際、大学等新卒者の3年以内の離職率は約3割。
つまり、「最初の就職先が合わず、再出発を考えている若手人材」が一定数存在するということです。
私がハローワークで勤務していた頃にも、大学生の方が来所され、実際に相談に乗る機会が多々ありました。
とはいえ、ハローワークを“新卒就活のメイン媒体”として活用している学生はごくわずかで、
多くの方は「離職後、失業保険の手続きをきっかけに、初めてハローワークを訪れた」というケースがほとんどです。
つまり、「既卒・第二新卒層に目を向ける」ということは、
“ナビやインターンを通じて企業と接点を持てなかったものの、今まさに就職先を真剣に探している若者”にアプローチすることにほかなりません。
こうした方々の中には、新卒時に「地元を離れて大都市圏で働きたい」「知名度のある会社に入りたい」といった憧れから企業を選んだものの、
地域になじめなかったり、仕事の実態がイメージと異なっていたりして、早期に退職してしまったケースも少なくありません。
そして次に職場を選ぶ際には、
「もっと地元で落ち着いて働きたい」「規模や知名度ではなく、自分に合った、地に足の着いた会社で働きたい」
と考えるようになるのです。
まさに、中小企業にとっては“選ばれる側”に立てる絶好のタイミングだと言えるでしょう。
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■ 大卒等求人票をうまく活用しよう
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ハローワークには、一般求人票とは別に「大卒等求人票(新卒者向け)」があります。
この求人票では、企業が「既卒3年以内応募可」と設定すれば、既卒者も新卒枠での応募が可能となります。
さらに、「第二新卒歓迎」と明記することで、再スタートを希望する若年層の目にも留まりやすくなります。
既卒3年以内の若年層に対しては、ハローワーク内の専門窓口にて、原則として専任の就職支援ナビゲーターが個別に対応しています。
まずは「大卒等求人票」の中から既卒者応募可の求人を探し、それでも希望する職種や条件に合う求人が見つからない場合には、一般求人票の中から“既卒者も歓迎し、丁寧に育成してくれる企業”を紹介される流れになることもあります。
したがって、企業側としては「大卒等求人票」と「一般求人票」の両方をうまく活用し、それぞれの対象者の行動パターンや検索経路を意識して作成することが重要です。
大卒等求人票では、「既卒者の応募可」を選択したうえで、既卒者を意識した仕事内容や特記事項の記載を心がけましょう。
また、一般求人票では、「第二新卒歓迎」や「若手活躍中」など、再チャレンジを後押しするような訴求を意識すると効果的です。
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■ 専門窓口・新卒応援ハローワークも活用を
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全国のハローワークには、「新卒応援ハローワーク」や若年層向けの専門窓口が設置されており、日々多くの既卒・第二新卒の求職者が相談に訪れています。
これらの窓口では、企業の求人票や採用方針を丁寧に扱い、適職な求人とのマッチングを行っています。
中小企業がこうした窓口を訪れ、採用ニーズや仕事内容、職場環境、福利厚生などをしっかり説明しておくことで、
支援者を通じての紹介やマッチングの精度が高まります。
いわば、“顔の見える企業”になることで、求職者にも安心感を与えることができるのです。
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■ まとめ:「“新卒相当”を狙う」は、現実的で効果的
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「うちは新卒は無理」と諦める前に、
既卒3年以内や第二新卒という、実質的に“新卒に近い”若者たちに目を向けてみましょう。
求人票の記載を工夫し、専門窓口との連携を図ることで、
中小企業でも“意欲ある若手人材”と出会うチャンスは十分にあります。
「若手がほしいなら、新卒だけにこだわらない」。
これも、ハローワークを活かした採用戦略の一つです。
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次号(第44号)は、2025年7月25日(金)配信予定です。
テーマは「Q. ハローワークに求人を掲載した際、営業電話を防ぐ方法はありますか?」です。
お楽しみに!
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