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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第28号 2025/4/4 発行
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皆さん、こんにちは。社会保険労務士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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さて、本メールマガジンでは、ハローワークを活用した採用戦略や求人票作成のポイントについて、毎回テーマを決めてお届けしています。
今回のテーマは…
「『仕事の内容』はやはり詳しく書いたほうがよいでしょうか?」
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【Q&Aコーナー】
Q.「仕事の内容」はやはり詳しく書いたほうがよいでしょうか?
A.「企業目線」ではなく、「自社が採用したい求職者の目線」で、詳しく、しかし“読みやすく”記載するのがポイントです。
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【解説】
「仕事の内容」欄は、求人票の中でも求職者が最も注目する項目のひとつです。
ハローワークで以前配布されていたパンフレット『求人申込書の書き方』にも、次のような記載があります。
「求職者が最も重要視する項目の一つです。詳しい記入をお願いします。文字数が多いほど応募者が多いという調査結果もあります。」
つまり、一定の情報量を確保することは、仕事内容のイメージを高め、応募者の増加にもつながる傾向があるということです。
ですが一方で、ハローワーク職員からこんなアドバイスを受けたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
「あまりたくさん書きすぎると、読まれなくなりますよ。」
実際、「情報量が多すぎると応募者が減る」という調査結果も存在します。
なぜ情報が“多いだけ”で逆効果になるのか?
それは、単に「量」の問題ではなく、「伝え方」の問題だと私は考えています。
たとえば、情報量を増やそうとして、
「重量物(30kg程度)を扱うため体力が必要」「終日屋外での立ち仕事」など、“覚悟”を求める情報ばかりを羅列してしまうと、読む側にプレッシャーを与え、敬遠されてしまうリスクがあります。
つまり、「企業が伝えたいこと」を一方的に並べただけでは、読まれないのです。
重要なのは、「企業目線」ではなく「求職者目線」、さらには「自社が求める人材の目線」で書くこと。
この視点で書かれた求人票の情報は、文字数が多くても読み飛ばされることはありません。
むしろ「読む価値がある内容」として、じっくり読まれます。
◆具体例①:未経験者・第二新卒がターゲットの場合
- 専門用語を避け、仕事のイメージが湧く表現にする
- 研修制度や未経験者の入社事例、異業種からの転職成功例など、安心感につながる情報を入れる
例:
「入社後は先輩社員が横について1か月間サポート」
「飲食店から転職したスタッフが今ではリーダーとして活躍中」
→ 経験がない人でも“自分にもできそう”と感じられるような情報が効果的です。
◆具体例②:経験者がターゲットの場合
- 専門用語や現場の数値を使い、仕事のレベル感や具体性を明確に伝える
例:
歯科衛生士の求人票に、
「通常P処理・SRPは30分、麻酔SRPは45分、メンテは月1回30分、SPTは担当衛生士制で30〜60分」
などと記載されていると、経験者にとっては非常にイメージしやすく、有益な判断材料になります。
→ 私自身は専門用語の意味をすべて理解していなくても、「読むべき相手(求職者)が価値を感じるかどうか」が大切だと考えています。
◆具体例③:既婚者・子育て中の女性がターゲットの場合
- 「家庭との両立」や「子どもの急な体調不良時の対応」など、ライフスタイルに合わせた配慮を示す
例:
「お子さんの急な発熱時は柔軟にお休みいただけます」
「学校行事への参加も事前相談でOK」
→ 一見、仕事内容と無関係に見えるかもしれませんが、働けるかどうかの判断に大きく影響します。
最後に
「仕事の内容」欄は、「誰に向けて書くか」で内容も文体も変わるのがポイントです。
そのターゲット像が明確であればあるほど、
✔ 具体的に
✔ 定量的に
✔ 固有名詞も交えて
丁寧に記載することで、応募者とのミスマッチを防ぎ、採用後の定着にもつながります。
「必要な情報を、伝わるかたちで届ける」――。
これが、求人票づくりにおける一番のコツかもしれませんね。