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五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第40号 2025/6/27 発行
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皆さん、こんにちは。社会保険労務士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
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【テーマ】
ハローワークで大学生の新卒採用をする際のポイントとは? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Q&A】
Q. ハローワークで大学生の新卒採用をする際のポイントを教えてくれませんか?
A. 大企業志向ではない,あえて地元の優良な中小企業を志望する学生をターゲットにしてみましょう。
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【解説】
「ハローワークで大学生なんて採れるの?」
そんな声を耳にすることがありますが、答えは――採れます。しかも、今からでも。
もちろん断言はできませんが、少なくとも“採れる可能性が十分にある”ということは、もっと知られていいと感じています。
ハローワークの中でも、大学生や既卒者向けの支援に特化した「新卒応援ハローワーク」が、全国に設置されています。
ここでは、求人紹介に加えて、履歴書やエントリーシートの添削、模擬面接、就活セミナー、そして学生の性格や志向に応じた個別相談など、大学のキャリアセンターにも劣らない、あるいはそれ以上に実践的なサポートが行われています。
私自身も、かつてハローワークで「学卒ジョブサポーター」(現在の「就職支援ナビゲーター」)を務め、大学生・短大生・専門学生への支援を担当していました。
その経験から言えるのは――「いい意味で、こだわりすぎない学生」がハローワークには集まってくるということです。
■ 6月下旬から“もうひとつの就活シーズン”が始まる
ハローワークでの新卒者向け職業紹介は、卒業年度の4月1日から始まっています。
ですが、学生がハローワークに本格的に動き出すのは、実は6月末から7月にかけてが多いのです。
この時期に見られる学生の動きとしては、たとえば──
- 第一志望の企業に落ちて、就職活動を仕切り直す学生
- 地元志向で、最初からUターン就職を検討していた学生
- 公務員試験の結果を待っていたが、民間企業への切り替えを考え始めた学生
- 進学予定だった大学院を見送り、就職に方向転換した学生
など、就職活動の再スタートを切るタイミングにあたるのが、この6月下旬~7月なのです。
だからこそ、「今さら出しても遅い」とは限りません。
むしろ、この時期だからこそ“自分に合った会社”を探し始める学生と出会えるチャンスでもあります。
■ 大手志向ではない学生に、何が響くのか?
こうした学生たちは、「大手企業かどうか」よりも、
- 自分が成長できそうか
- 社内の人間関係は良さそうか
- 地元で長く働けそうか
- 未経験でも受け入れてもらえそうか
といった、“等身大の安心感”を重視しています。
たとえば、彼らの目に留まりやすいのは、こんな求人情報です:
- 「入社後1年間は、先輩とペアで現場を回ります。現場ノートで日々の学びを整理しながら、一歩ずつ仕事を覚えていけます」
- 「社員18名のうち、20代が7名。年の近い先輩が多く、相談しやすい雰囲気です」
- 「実家から通える距離で働けるので、親御さんも安心されています」
- 「公務員を目指していた学生が、面接で“人を支える仕事ですね”と言われたことが入社の決め手になりました」
このように、学生が“自分の姿を重ねられるような具体例”を盛り込むことで、職場の空気感や価値観がぐっと伝わりやすくなります。
■ よくあるNG求人票と、その改善ポイント
残念ながら、ハローワークに出されている大卒求人の中には、前年の内容をそのまま転用しただけの求人票も少なくありません。
その結果、学生や支援者が読んでも、「何を伝えたいのか分からない」求人が目立ちます。
よくあるNG表現の例:
- 「営業職。法人向け。やる気のある方歓迎」
- 「未経験OK。丁寧に指導します」
- 「アットホームな職場です」
こうした曖昧な表現では、支援者も学生に紹介しづらく、求人検索の画面上でも埋もれてしまいます。
代わりに伝えるべきは、次のような具体的な情報です:
- 「営業先は既存顧客が9割。新規営業は年2件程度」
- 「研修は動画学習+先輩社員とのOJTを組み合わせて、約3か月間実施」
- 「月1回、若手社員同士でランチ会を実施し、悩みやアイデアを共有しています」
このように、読んだその場で“働くイメージが浮かぶ”情報を載せることが、差別化の第一歩です。
■ 読み手は学生だけではない
ハローワークの求人票を読むのは、学生本人だけではありません。
就職支援ナビゲーター、大学のキャリアセンター職員、そして保護者など、まわりの大人たちも一緒に読んで、相談しながら応募を検討しています。
だからこそ、求人票は「誰が読んでも伝わる言葉」で、
「この会社なら大丈夫そう」と思ってもらえるような情報を丁寧に書くことが大切です。
むしろ、「この会社、いいかも。見てみて」と支援者が学生に紹介したくなるような求人票を目指すべきなのです。
■ まとめ:大卒採用も、ハローワーク経由でまだ間に合う
「ハローワークで大学生は採れない」――そう思い込んでしまうのは、非常にもったいないことです。
地元で働きたい学生、就活を立て直したい学生、
あるいは「名の知れた企業より、自分に合った会社を選びたい」と考える学生――
彼らは今、ハローワークを通じて企業との出会いを探しています。
そして、求人票の“伝え方”を少し見直すだけで、そうした学生との接点は確実に増やせます。
大卒求人は、今からでも決して遅くありません。
むしろ「今だからこそ」本気で職場を選びたい学生に届くチャンスがあります。
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次号(第41号)は、2025年7月4日(金)配信予定です。
テーマは「はじめての新規高卒者採用において知っておきたい仕組みやルール」です。
引き続き、ご愛読のほどよろしくお願いいたします!