□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
五十川将史の「ハローワーク採用を極める」メールマガジン
第34号 2025/5/16 発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
皆さん、こんにちは。社会保険労務士の五十川将史(いかがわ まさし)です。
いつもメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【テーマ】
求人票作成のポイントについて分かりやすく教えてください
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「求人票は魅力を伝えるもの」と分かっていても、
いざ書こうとすると何を書けばよいのか迷ってしまう……
そんな方のために、今回は『よくある退職理由を解決する視点』で
求人票を作成するポイントを解説します。
────────────────────────────
◆(1)退職理由を逆手に取る!
────────────────────────────
例えば、自動車整備士を例に考えてみましょう。
整備士として転職を考える方の多くは、すでに整備士としての実務経験を持っています。
これまで、ディーラー(メーカー正規の販売・整備店)間の転職、
ディーラーから町の整備工場(民間の修理・整備会社)への転職、
逆に整備工場からディーラーへの転職、あるいは整備工場同士での転職など、
職場の移動パターンはさまざまです。
つまり、彼らは前職で抱えていた
不満や不安を解消するために、新たな職場を探しているのです。
そうした整備士経験者に対して、
「自動車整備士とはどんな仕事か」といった未経験者向けの
説明を求人票に記載するだけでは、ほとんど意味がないといえるでしょう。
だからこそ、求人票には求職者が抱える不安や不満を、
どのように自社で解消できるのかという
具体策をしっかり盛り込むことが重要です。
────────────────────────────
◆(補足)ディーラーと整備工場の特徴・志望理由と退職理由
────────────────────────────
求人票を作成する際、ディーラーと整備工場
それぞれの特徴を理解しておくことはとても重要です。
【ディーラーのよくあるメリット】
・メーカー直系の最新車種に触れられる
・研修やキャリア制度が整っている
・福利厚生や待遇が安定している
【ディーラーのよくあるデメリット・退職理由】
・営業ノルマが課されることがある
・整備業務より接客・販売が重視される場合がある
・メーカーごとの厳しいルールや縛りがある
【整備工場のよくあるメリット】
・幅広い車種・作業内容を経験できる
・技術・整備に集中できる
・柔軟な働き方やシフト調整がしやすい
【整備工場のよくあるデメリット・退職理由】
・工場の体制が属人的で古い場合がある
・収入や待遇が安定しないことがある
・作業環境が設備や管理体制に左右されやすい
これらを整理したうえで、
自社がどの立ち位置で何を強みとし、
何を改善・工夫しているのかを求人票に盛り込むと、
求職者の心に響く内容に近づきます。
────────────────────────────
◆(2)転職理由別・記載例
────────────────────────────
以下は、整備士の転職理由別に有効な記載例です。
① たくさんの車種を扱いたい
→ ベンツ・BMW・アルファロメオなど
外車を含む幅広い車種を扱うため、経験・知識が大きく広がります。
② 技術を磨きたい、新しい技術を学びたい
→ 実務未経験でも丁寧に指導。
認証工場として資格取得支援を行い、
講習費用も全額負担。難関資格の合格率も高水準です。
③ 給料が少ない
→ インセンティブや利益還元制度を導入。
年収例:28歳/410万円、38歳/520万円。
④ 残業が多い
→ チーム制で負担を分散、深夜残業ゼロ。
1日平均残業1時間、19時定時退社が基本です。
⑤ 身体がキツイ
→ 最新設備(リフト、アライメントテスター等)を完備。
清掃が行き届いたクリーンな作業環境です。
⑥ 人間関係が悪い
→ 若手中心で和気あいあいとした雰囲気。
工場長は未経験出身で、新人の気持ちに寄り添える人柄です。
⑦ 休日が少ない、土日が休めない
→ シフト調整で土日や連休取得が可能。
週休2日制、年末年始・夏季・GW休暇も確保されています。
⑧ 営業に異動させられる
→ 希望しない限り営業職などへの異動はありません。
定年まで整備職としてキャリアを積めます。
────────────────────────────
◆(3)求人票の書き方のコツ
────────────────────────────
✔ ただ「未経験OK」「残業少なめ」と書くだけでなく、なぜそう言えるのかを具体的に説明する。
✔ 「誰が、どんな体制で、どうフォローするのか」をしっかり伝える。
✔ 数字(年収例、残業時間、休日日数)や具体例(1日の流れ、使用設備)を盛り込むと信頼感が増す。
✔ 求職者の不安を先回りして解消することで、応募の心理的ハードルを下げる。
────────────────────────────
◆まとめ:不満を解消する視点で自社の強みを伝える
────────────────────────────
求人票は単なる条件の羅列ではありません。
求職者が抱える「ここが不安」「これが不満」という気持ちを理解し、
それを自社ではどう解消できるのかを具体的に示すことが重要です。
ぜひ、自社の求人票に今回の視点を取り入れ、
応募につながる内容へブラッシュアップしてみてください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次号(第35号)は、2025年5月23日(金)配信予定です。
テーマは「求人票の「NGワードや表現」も工夫次第で有効なメッセージへ」です。
引き続き、ご愛読のほどよろしくお願いいたします!